品格 ― 川喜田敦 白がけしの 湯呑


 三重が生んだ偉人、川喜田半泥子。彼の作る茶碗をはじめとする作品は、懐が深く、洒脱であり、唯我独尊を体現したようなものが多い。そして二代半泥子として、このスピリッツを受け継ぐ敦氏もまた、そういった彼しか作れない独特の作品を生み出している。

 日本の陶磁器において桃山がひとつの絶頂期であることは確かなことだ。しかし、その時代のものをいくら模倣してもオリジナルには勝てない。模倣は模倣でしかない。現代の陶芸家にはそういった模倣の達人もちらほらいるが、二代半泥子の作品はまったくそういったものではない。完全なオリジナルであり、それゆえに桃山の作品がもっているような「格」を備える。


 この湯呑も極めてシンプルな湯呑ではあるが、長い時代を耐え抜いたような古格をすでに持ち合わせている。それなりに重みのあるこの湯呑はもつと器の真ん中一点にずっしりと重心がかかりこの存在を主張している。

 湯呑というのは陶芸の作品の中でも一番安い値段で売られるもので、百貨店の展覧会などでも、普段湯呑を作っている陶芸家が湯呑を出してないことが多々ある。利益の問題かもしれないが、そういう作品にこそ、違いがでる。一番使うものだからこそ違いもわかる。

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