はがれた釉薬が雲のように。川喜田敦 湯呑


 もともとはかけてあった釉が窯のなかではがれたらしい。まるで焼き締めのような土肌になっている。ところどころに残っている釉がまるで雲のように器体にたゆたう。ここは小さな天空のようだ。また、器自体がちょっと歪んでいるわけだが、その歪みに勢いとキレがあって、絶妙のバランスだ。この形、雰囲気。これは最高の湯呑だ。