シンプルで味がある。高力芳照 粉引湯呑


 日本人はかわいいものが好きだ。ころころとした感じのものはかわいいと言って好まれる。
 この湯呑もそういった嫌みのないちょっと小太りのころっとした体型の湯呑である。

 高力芳照は備前焼の作家であるが、これは備前焼ではなく粉引である。釉薬が薄くかかることで、その器土の部分のシェイプはそのままはっきりとわかるようにしつつ、持ち手の感触や口触りの柔らかさを高めて、誰でも使いやすくしているのだと思う。
 もともと僕は焼締は大好きなので、焼締が嫌われる点は全く気にならないが、焼締が苦手な人がいることもわからないわけではない。あと、白い釉薬をかけることで、お茶の色がよくわかるようになる。これは明らかにいい点で、さらに、柔らかい釉薬は、使い込めば使い込むほど変化しやすく面白いかもしれない。


 あとはまだまだ価格的にも手頃でなによりもうれしい。