これ以上ないシンプルなフォルム。マイセンのブルーオニオンのコーヒーカップ&ソーサー


 マイセンの代表的なデザインと言えば、もちろんブルーオニオンだ。日本の柿右衛門様式に影響を受けたと言われるこのデザインは、染付に馴染みのある日本人にとっても、とてもしっくりくるデザインでもある。青と白という配色は、言わば空の配色であり、万国共通の美意識かもしれない。

 他の国ではどうかわからないが、日本の百貨店などに行くと、このブルーオニオンのいろいろな食器が作られている。特に最近、コーヒーカップ類のデザインが相当たくさんあるように思える。これもまたそのひとつだ。


 購入するのが躊躇されるほどシンプルなデザイン。マイセンでブルーオニオンじゃなければ、完全に普通のコーヒーカップだ。しかしよく見ると、さすがはマイセンという一工夫がなされている。まずカップの大きさ。たしかにあまりにも平凡なデザインではあるが、大きすぎずやや小ぶりの、かといってエスプレッソカップではない絶妙な感じ。しかも、そのカップに比べてやや大きめのソーサー。そのバランスが、とてもかわいいのだ。結果的に、(もちろんマイセンという先入観はあるが)とても上品に見える。ごてごてした服などきない、シンプルなオーダー服に身をつつんだいいところのお嬢さんという感じか。

 マイセンも決して伝統に甘えることなく、新しいデザインを生み出し続けているブランドである。しかし、あえてこういうシンプルな飽きのこないフォルムで勝負できるところが、世界のトップブランドたる自身の表れだろうか。