これでがっつりとお茶漬けでも。加藤隆彦の信楽片口


 昔、焼締にどっぷりとはまっていたことがあった。力強く、その荒々しい見た目そのままの感じが、迫力あるものとして僕には感じられたからだ。釉ものにまた惹かれるようになった今と比べると、そのときどきに惹かれるものがあることが分かって面白い。焼締でも、今見ていいと思うものは、もう少してろっとしたもののほうが味わい深いように思える。


 しかし、焼締はその素朴な風合いからして、料理が映える。この片口はどんぶりよりもやや大きめなもので、分厚いためもあって、口をつけるのにはやや適していない。だが、そういうもので逆にお茶漬けなどを食べてみるのも面白い。


 いずれにせよ、普通に使いたい。繊細に使うようでは面白みも半減する。


↓豪快な性格を上品なベルベストのジャケットでつつんでみてはいかが?