丸い器に描かれた小さな絵画。ヘレンドのフルーツエスキース(チェリー)のティーカップ&ソーサー


 僕はヘレンドも蒐集しているが、基本的にはこの724という番号で表される形のティーカップがメインだ。ほかの洋食器ブランドと同じく、ヘレンドはもちろんたくさんのバリエーションを作っていて、いろいろなシェイプを生み出しているが、僕としてはこの形以上のものはない。シンプルなのだが、たんにシンプルというのではなく、やや丸みを帯びたライン、縦横のバランスがとてもしっくりくるのだ。そして一番ヘレンドらしい。


 このフルーツエスキースは、器体にひとつフルーツが描かれているもので、日本の百貨店などでは、このチェリーとプラムしかなかなか見ることがないが、ストロベリーやレモンなどもあるようだ。チェリーでもジノリのアンティコチェリーのような強い赤色ではなく(僕はこのシリーズも大好きなのだが)、オレンジっぽい色で描かれているところが、チェリーが日の光にでも当たっているようで爽やかな感じを与えてくれる。
 よく考えれば、チェリーも丸いし、丸いものはかわいいということなのか。