耳になじむ絶妙の曲と歌詞。ちょっと切ないロックだ。 くるり 魂のゆくえ
くるりの8枚目のアルバム。くるりのアルバムをまるまるひとつ聞くのはこれが初めて。お目当ての曲は「さよならリグレット」だ。全体的に、ダイレクトにわかりやすい歌詞ではない。だが、独特の雰囲気をもっていて、それが曲に見事にあっている。曲のバリエーションも豊富で幅広いが、つねに少し切なさがつきまとう雰囲気だ。一人荒野を行く旅人のような、明るいけど、何かを隠しているような。
昔、ユニコーンや奥田民生をかなり聴いていた時期があるが、ちょっと似ている感じがした。
やっぱり「さよならリグレット」はとてもいい曲だ。「三日月」もまったく無駄がない。あと「かごの中のジョニー」が不思議な曲で、なんだか心に残る。全体的に見てもかなりいいアルバムだ。
1.LV45
SFちっくだが非常に抽象的な歌詞で意味はよくわからない。でも乾いた星の雰囲気?がよく出てて面白い。ラストもなかなか。
2.愉快なピーナッツ
iPhone 3GSのCMソングだったらしい。軽快であるが軽くはない。ちょっと切ない雰囲気。昔のユニコーンのスバラし日々を思い出した。とてもいい曲。
3.太陽のブルース
チオビタドリンクのCMソング。極めて単調に曲が進むが、テレビでなんども耳にした曲ということもあり、馴染みができているため退屈しない。CMの力はすごいが、それだけではない。その単調さが心地よく、素直に聞くことができる。
4.夜汽車
軽快で、でもちょっとレトロな音楽と歌詞の組み合わせがさわやか。汽車の窓際に座って窓に頭をもたれさせている若者の姿がふと浮かんだ。
5.リルレロ
いかにもロックらしい曲。面白いのは面白い。歌詞の語呂もいい。まあ遊んだという感じの曲。
6.つらいことばかり
不思議な魅力のある曲だ。色気も何もない歌詞だし意味もちゃんとあるのかよくわからないのだが。なんかまあ、仕方ないかな人生は、という感じ。
7.さよならリグレット
ハウス食品「ジャワカレー」CMソング。これは文句なしにいい曲だと思う。比較的短い時間で、曲の起伏、いい歌詞がまとめられていて、その曲の短さがまだ聞きたいのに、という余韻を残す。さよならリグレット(後悔)、そのためには電車に乗って出かけるのがいいのか。
8.かごの中のジョニー
幻想的な曲。幻想的とは言っても、神秘的な曲という意味での幻想さではなく、不思議な、操り人形に魂が吹き込まれた世界のような雰囲気だ。やや退廃的でもある。そしてなぜか何度も聞きたくなる。
9.natsuno
8曲目とは一転して、ストレートなさわやかさ。とは言え、「ヒバリのつがいはやりまくる」とは・・・
10.デルタ
なかなか雄大な曲。大きな夕日が西の空を赤くそまる光景が目に浮かびそう。ミュージシャンはロマンチストだ。そしてそうでなければならない。
11.魂のゆくえ
軽快なテンポ。そして少し音楽と外した歌詞。この外し方が絶妙。たくましい前向きな歌詞ではなるが、なんだかさびしい。
12.ベベブ
テンポがよくて耳心地がいいのだが、ベベブってなんだ?
13.背骨
ウェスタンな雰囲気。
14.三日月
NHK土曜時代劇『浪花の華〜緒方洪庵事件帳〜』主題歌。短い曲だが、やさしさとさびしさがあふれる歌詞でうまくまとめられている。短い曲のもつ余韻が三日月という欠けた月に美しさを見出す日本人の心情を引き立てる。
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